· 

山登りの仲間

この写真は、本文とは直接関係ありません
この写真は、本文とは直接関係ありません

 ここ最近、他のガイドさんのピンチヒッターを任されたこともあり、「等高線」でのガイドのみならず、一般のお客さんのガイドに行くことが多々あります。

 そのお客さんの声でよく聞かれるのが、「山の仲間をどこでどうやって見つけるのか」という悩みの声。「ツアーに毎回参加していたらお金がかかるから、本当は自分たちだけでいけたらいいけれど、一人は怖いし」「かといって、SNSで募集がかかっているような集まりに参加するのは、なんとなく不安だし」「歩くのが遅くて他の人のペースについていけるか不安だから、強い人の多い山岳会とかは合わない気がするし」・・・。

 どの声ももっともで、いちいち頷けます。たしかに、気が合って、なおかつ信頼できる山仲間を見つけるのって、なかなか難しい問題と私も思います。

 

 私の場合、社会人になってからは最初仲間がおらず、一人で山に行っていました。学生時代から山登りの経験があったので、近郊低山のハイキングでは不安はなかったのですが、やはり2,000mを越えてくる、あるいは宿泊の必要な高山に一人でいくのはいろいろと不安があり行けずじまいでした。でもそのうち、低山ばかりでなく高い山にも行きたいなぁという思いがふつふつ湧いてきました。

 そんな思いを抱いていたときに参加した、春の立山スノーシューツアーでのこと。私は一人で参加していたので、他の一人参加のおじさんと仲良くしゃべっていたりしたのですが、ツアーも本当終盤に、友達と参加していた女性と言葉を交わしたら家が近いことが判明。なんとなくそのまま別れることが気になって、帰りのバスを降りる直前に連絡先を書いたメモを彼女に渡して(まだ携帯がそこまで普及していない時代のこと!)、私のほうが先に降りたのでした。

 そこから彼女との山が始まり、彼女の山仲間を紹介してもらって、低山から貸切バスツアーの御嶽や白山、八ヶ岳など様々なところにご一緒させてもらいました。徐々にレベルアップしていった私たちは、自然と「テント泊したいね」という話になって、私がテントを購入し、彼女と2人でテント泊山行をすることが増え、そうこうしているうちに今度は彼女がクライミングに私を誘ってくれて、クライミングジム通いが始まり・・とまた私の山の幅も経験も深まっていったのでした。山岳会に入ったのはそのあとのことです。彼女がいなければ、いまの私はいなかったかもしれないし、同じように山仲間を見つけるのに苦労していたかもしれません。

 ということを考えると、正解はありませんが、ある程度数回ツアーに参加して、気のあった人を見つけたら積極的にコミュニケーションをとって、一度、まずは簡単な山に一緒に行ってみる、ということが問題解決の手掛かりになるかもしれません。

 

 山岳会は、最近はもっぱら高齢化している会が、全国的に多いと思いますが、山岳会に入ってみるのも一つの方法かもしれません。山岳会も、毎月「例会」といって、会の行事で山に行っているところもあれば、そういうのがなく、個人の山行が多いところもありますし様々です。自分のスタイルに合うところが見つかればいいですね。山岳会に入ると、正直、面倒くさい組織的な関わりも出てきますが、一方で、組織的な広い人脈で仲間が増えるということも、確実にあります。年齢を超えて同じ「山」という趣味で繋がれるのも、山岳会の魅力かなと思います。

 

 ガイドとしては、ずっとお客さんとして参加くださるほうが嬉しいですけどね!(笑)