· 

春山の難しさ

 5月の連休明けに、白山・別山に行っていました。コースは、市ノ瀬ビジターセンターから入り、チブリ尾根を通って別山へ、そのあと三ノ峰避難小屋で泊り西進して、また市ノ瀬にもどってくる予定でした。

 メンバーは3人。このうち私ともう一人Aさんは経験はまぁ同じくらい、もう一人は雪山はまだ最近深堀り中という感じのBさんです。

 

 Aさんは過去、同じ時期にすぐ隣の白山へ登ったことがあり、そのとき信じられないくらい寒くて人から手袋を借りて重ねて着用した、だから経験の浅いBさんに、「しっかりとした防寒対策がいるよ」と親切にアドバイス。

 一方でMountain Wether Forcastで天気予報を見ていた私。気温は10度以下であるものの、寒気が入っているわけでなく、雪予報より雨予報がちらついていたりする。だから、多少の防寒は必要でも、「そこまで寒くないでしょ、Aさん寒がりだからじゃない?」と心の中で半分は思っていました。でも半分は、その読みに自信がなく、心持ち厚めの防寒対策をしていきました。その一方でBさんには、「予報を見ても、気温は平地の真冬の温度で風もほぼないかな。とはいえ、小屋での停滞は寒いと思うので、それなりの防寒対策は必要と考えます。一方昼間はある程度温度があがると思うので、温度調整しやすいようにしておいたほうがいいですね」なんてちょっと先輩面してアドバイスを返していました。

 

 春山で寒さ対策に加えて大事なのが水です。今回のルートでは水を取る所がなく、また冬のように、雪を溶かして水を造ることも考えない方がいい(汚いので)。なので、全部下から担ぎ上げる必要がありました。

 「2ℓいるかな?」というAさんに対し私は「余裕を見て3ℓ持って行く」と返事しました。

 

 蓋を開けてみたら、どっこい。天気が良すぎて、暑い! 特にチブリ尾根はまぁまぁきつく、荷物の重さも相まって、登り一辺倒の1日目はじんわり汗をかく感じ。Aさんは途中から半そでに。

 朝にちょっとしたトラブルがあったりこの暑さだったりでペースが落ちて、初日に三ノ峰避難小屋には到底いけないと悟った私たちは、初日の宿をチブリ避難小屋にし、別山を明朝往復してくることに予定変更。

 この時点で水は1ℓ強は飲み干していました。その日の夕食・翌日の朝食用に700mlほど使うので、残り1.3ℓほど。全然余裕なんてなく、かつかつで、都度残量を気にしながら翌朝を迎えました。

 翌日も良い天気。早朝は気温が低かったので少し救われましたが、最終的に、登山口に無事下山!の時点で全部の水を飲み干してギリギリセーフ、という状況で、市ノ瀬ビジターセンターについたときは”いの一番”で自販機にサイダーを求めに行ったほどです(笑)。

 

 この頃の残雪期の高山は、ひとたび天候が荒れれば、冬山に戻ります。天気が良ければ、半袖で登れてしまいますが、陽がおちた夜間~早朝は下界の冬の温度まで下がるうえ、行動をしないため、それなりに寒く感じます。ということを頭でわかっていたのですが、暑さの加減から水の量まで想像できていませんでした。

 

 だからといって、たくさん水を持って行ったら良いのかというと、そうでもないのです。荷物が重くなることで、行動が遅くなる、疲れやすくなる、というデメリットがあるからです。

 解決方法は。

 一つに、ずっと導入を迷っている「ポータブル浄水器」かな、と個人的には思っています。少し荷物が増えるけれど、それを上回る量の水を残雪から作れる。「水がないかも」という恐怖から解放される。このメリットは大きいと思います。

 あとは防寒対策ですね。比較的寒さに強い私のことなので、多少寒いのは我慢できます。今回のことを参考に、服装をもう少し軽量化する方向で考えていこうと思いました。

 

 残雪期の春山はそうそうたくさん行ってないので、行くたびに装備も服装も手探りになるのが正直なところ。そういう意味では今回は良い経験になりました。Bさんに偉そうなこといって、私もまだまだだなぁー。

 

 さて、浄水器、どこのを買おうかな?