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コロナ時代の手話通訳

新型コロナウイルスの感染防止を考え、大学の授業もオンラインになる時代、各種の集会や研修も、オンライン形式で行われるところが増えてきています。

それにともない、手話通訳もオンラインで行われるケースが最近増えてきている感じがします。

 

オンライン形式にもいろんなパターンがあると思いますが、

①オンライン上にろう者がいて、画面上で互いの顔を確認することができるケース

②視聴しているろう者は見えず、いわゆるテレビ通訳と同じ状況になるケース

と大別することができるかなと思います。

①はリアルタイムで通訳することが多く、②は収録型のことが多いです。

 

①はろう者の反応が分かるので、伝わっている・いないが確認できる面では大変ありがたいですが、複数の通訳者で通訳を担う時が難しいです。通訳者は自宅など、別々の場所にいることが多いので、交代や、間違い・通訳し損ねた内容のフォローなどをどうするかが非常に難しいです。今一つ試みている方法は、通訳者用に別のビデオ画面を用意し、それを見ながらフォローする方法です。ここで一つ問題なのは、通訳で聞き落したことを声に出してフォローする方法になると、話者の発言が聞きづらくなってしまい、結果的に、どこかの内容を落としてしまうということです。手話通訳者用ビデオで手話を振ってフォローすると、通訳している側の通訳者の視線が動いてしまい、不自然になってしまいます。また、資料の読み上げなどする場合、対面だと、その資料を指して読んでもらうという通訳をしますが、ビデオではできないので、全部手話に変えなければなりません。人は原稿を読むときは、考えながら話すわけではないので、スピードがとても速くなります。これを通訳するのはなかなか大変です。

 

②の収録型は、テレビの通訳と似ているようで、実は、それよりも負担が大きいように感じます。その原因が何かがまだつかめていませんが、一つ思うことは、収録時間が長いということでしょうか。例えば1時間の映像でも、手話通訳の映像は、何度か撮りなおししたりして、その何倍もの時間がかかります。また、ナマの音でなく、音源(録音したもの)を聞いて通訳するため、やはり音質が良くなく、聞くことにかなり集中力を使うことも影響しているのではないかと感じます。1回の収録が終わると、かなりぐったりします。

 

今後もこの形態は続くと思うので慣れていく必要がありますが、かなり負担が大きいため、正直、私は辛いなぁと思っています。まだまだ方法が確定しておらず、より良い通訳方法を模索している状態が続いていることも、負担を感じる要素になっている気がします。

手話通訳者の処遇も、コロナ時代の新しい方法を考慮したものになってほしいなと思う今日この頃です。

 

(写真はイメージ画像です)