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道普請~ツアー登山の新しいスタイルになる?

 先日、濃飛バスが主催する、「山と渓谷社 萩原編集長と登る! 御嶽山登山道整備ツアー」という登山ツアーに参加してきました。

 

 たまたま見ていた「YAMAKEI ONLINE」のFacebook記事で標記のツアーの募集を始めるとの告知が。

 

①かの有名な萩原編集長に会える!

②登山道整備って面白そう。1回やってみたかったんだよね~。

③御嶽山ってあの痛ましい噴火事故から入山をためらってたけど、他の人と一緒に行くのなら、入山も許されるかな

 

 そんな3つの前向きな思いが重なり、「いつ行くの❓ 今でしょ!」と感じた私は速攻申し込みをして、無事に参加権をGETできたのでした。



  盛りだくさんの2日間を書き出すと、全然書き終わらないので、登山道整備の様子だけ、ちょこっとご紹介。

 

 今回の目的は、2年前の夏の豪雨で登山道が崩落するなどの被害が出た濁河温泉からの登山道の修復を一部手伝うというもの。水が流れやすい登山道というのは、水が流れ、それにより溝が深くなりえぐれて、また川のように水が流れる、という状況が繰り返されます。水でぐちゃぐちゃになった道は歩きにくく、私たち登山者は、道のない、その脇の例えば草の上、木の根の上などを通るようになります。同じ行動をする人が増えるとそこが道のようになり、今度はこちらの方が正規の登山道のように見え、ますます歩く人が増え、自然が破壊されていきます。

 こういった事態を防ぐため、石畳のように道に石を敷き詰め、水を地中に流そう、それも人工物を使うのでなく、その山にあるものを利用して補修していこう、というのが、登山道整備をしている五の池小屋主人・市川さんの「流儀」です。

 私たちのお役目は、河原から上げてもらった、一つ1kg以上はある石を持てるだけ持って、約200mほど先の登山道にただの1回移動させるだけの手伝いで、日ごろボッカしている私にとっては全く何ともない作業でしたが、これを何百、何万回と繰り返していく気の遠くなる作業を想うと、一登山者としては、小屋任せにしてはいけないと感じました。 

 参加した人たちはほぼ口を揃えて、「ボランティアをして山に恩返しできる、このような取り組みは良い。そういう機会はもっとあって良いと思う」と、感想を述べていました。

 特に災害が続く最近の気候、新型コロナのような新しい病気等々の状況も重なり、苦境に立たされている山小屋を、ボランティアのような形でサポートしていく民間の取り組みは非常に大切だと思います。私のように、機会があれば参加したいと思っている人も多いでしょう。またそこまで積極的でなくても、「登山道整備のため、この石を次のコルにある石置き場まで運んでください」と書いておけば、「やってやろう」という人はたくさんいるんじゃないかと思います。

 ただ、そのあとの、運ばれた石を、登山者の行動を考えて「歩きやすい」ように敷き詰めていく作業は、想像以上に骨の折れる仕事です。だから、やはり、「民間丸投げ」でなく、公的な人材・資金の投入は必要と考えます。特に多くの山岳地帯は、「国立」あるいは「国定」公園なのですから。大切な自然の資源を守る責任は国にもあるはずですから。菅首相が「まずは自助で」と言われたことが、山の整備にまで引用されたら困るなぁと今からいらぬ心配をしています。

 

 今回のツアーの反響を見て、岐阜県や地元自治体である下呂市は、今後も今回のようなツアー登山の2回目、3回目を考えていきたいと話しておられました。機会があれば、みなさんも参加してみられませんか?

(ツアーの詳報は、YANMAR ONLINEに今月中にUpされる予定です)